飲食店を開店するためには、

保健所の許可(飲食店営業許可等)
消防署への届出(防火対象物使用開始届)が必要です。

飲食店の業態によっては、警察署への届出や許可(深夜酒類提供飲食店営業開始届出もしくは風俗営
業許可)が必要な場合があります。

ここでは一般的な「飲食店の営業許可」である保健所の許可申請についてご説明します。

保健所への許可申請

レストラン、カフェ、バー、居酒屋といった一般的な飲食店は「飲食店営業」の許可を得て、営業開
始となります。
ただし、営業形態や地域によって「喫茶店営業」になったり、「菓子製造業」や「そうざい製造業」
も併せて取得したりしなければいけないこともあります。
許可の種類は以下のようにたくさんあります。

飲食店営業

喫茶店営業

菓子製造業

あん類製造業

アイスクリーム類製造業

乳処理業

特別牛乳搾取処理業

乳製品製造業

集乳業

乳類販売業

食肉処理業

食肉販売業

食肉製品製造業

魚介類販売業

魚介類せり売営業

魚肉ねり製品製造業

食品の冷凍又は冷蔵業

食品の放射線照射業

清涼飲料水製造業

乳酸菌飲料製造業

氷雪製造業

氷雪販売業

食用油脂製造業

マーガリン又はシヨートニング製造業

みそ製造業

醤油製造業

ソース類製造業

酒類製造業

豆腐製造業

納豆製造業

めん類製造業

そうざい製造業

缶詰又は瓶詰食品製造業

添加物製造業

上記の他、自治体によって届出制度などがあります。
営業形態で必要な手続きが変わることがありますので、前もって店舗がある地域の保健所で相談す
ることが良いと考えます。

あわせて、夜の0時を過ぎても営業するお店で、お酒を提供するが食事を主に提供しないバーや居
酒屋といったお店を出される場合は、店舗がある地域の警察署に深夜酒類提供飲食店営業開始届も
出す必要があります。
ただ、その届出が必要な場合と不要な場合の判断が明確にされていないので、お酒メインに提供し
ない飲食店の場合は警察署に事前に相談するのが無難と考えます。

飲食店営業許可の要件

許可を取るための要件は大きく2つ(「人」「店舗」)に分けられます。

1 人について
  ・申請人(飲食店の営業者)が欠格事由に該当しないこと
   ※欠格事由:申請人が過去に食品衛生法に関して処分を受けたことがある
         営業許可を取り消されて2年が経っていない
   営業者が法人である場合は、役員全員が欠格事由に該当しないことが必要です。

  ・専任の食品衛生責任者をおくこと
   食品衛生責任者とは・・・
    飲食店で食品の衛生管理を行う人で、店舗の衛生環境が法令に適合しているように管理する
    人になります。店舗で必ず1人、専任の食品衛生責任者を置くことになっていて、複数の店
    舗の食品衛生責任者を兼任することはできません。
    なお、他の飲食店から独立する方で、「前の店舗で食品衛生責任者になっている」場合は、
    前の店舗の食品衛生責任者を退任してから、独立して営業する飲食店の営業許可申請するこ
    とになります。

よくある質問

・どうすれば食品衛生責任者になれるのか?
 一般的な方法は、各都道府県に設置されている衛生協会が実施している合計6時間の講習を受ける
 ことです。講習修了で食品衛生責任者の資格を取得となります。
 なお、調理師や栄養士等の特定の資格をお持ちの方は講習を受けること無く、食品衛生責任者にな
 ることができます。

・開店時に食品衛生責任者が置けないときは?
 「講習会の予約が取れない」等の理由で開店前に講習を受けられない場合でも、一定期間以内に食
 品衛生責任者を設置する誓約書を申請時に保健所へ提出することで、飲食店営業許可申請を受付し
 てもらえますので、開店に間に合わない場合であっても許可を取得することができます。
 誓約書で決めている期間内に食品衛生責任者を設置して、保健所へ報告する必要があります。

2 店舗の設備

 飲食店営業許可を取りたい店舗の設備や構造の要件は、法律で定められています。この要件を満た
 していれば営業許可を取得することができるのですが、細かい要件は保健所ごとに運用が異なって
 いますので、事前に確認が必要です。
 なお、要件を満たしているかどうかを、申請後に保健所の担当者が実際に検査に来ます。

 ・厨房の床が清掃しやすい構造になっていること
  厨房の床がコンクリートやタイル貼りなど、水はけが良い構造になっていることを指します。床
  がカーペットやじゅうたんなどが敷かれていると清掃しやすいといえないことから、要件を満た
  さないと判断されます。
  油などを多く扱うような営業形態だと、グリーストラップや排水溝を設置しないといけないこと
  もあります。

 ・「厨房に2槽シンクが設置」されており、シンクのサイズが「幅45cm×奥行き36cm×深さ18cm」
  以上であること
  シンクのサイズについては、担当によっては基準を少々満たさなくてもそれほど厳しく判断されな
  いこともありますが、1cmでも足りないとシンクを交換するように言ってくる担当もいます。
  また、保健所によっては食洗器を1槽とカウントして、隣に1槽シンクを併設すれば、2槽シンク
  が設置されていると認めてくれるというケースもあります。

 ・厨房内、トイレ内にそれぞれ「幅36cm×奥行き28cm」以上の大きさの手洗器が設置されている
  基本的に厨房内に従業員用として手洗器が一つ、トイレ内にお客様用として手洗器が一つ設置され
  ていなければなりません。
  デザイン性の高い手洗器を設置したい場合、許可が取れるサイズか注意しなければなりません。多
  少小さくても認めてもらえる場合もありますので、基準に満たないサイズの手洗器を使いたい場合
  は、事前に保健所に相談に行くと良いです。

 ・手洗器に設置されている消毒器が固定式であること
  消毒器とは手洗い用の洗剤液が入った容器を指します。固定式というのは、一般に市販されている
  ボトル式のハンドソープなどをそのまま洗面台に置くだけではダメで、消毒器が壁や洗面台に固定
  されていて動かせないような状態にするということです。
  壁や洗面台の材質や構造的に固定式の消毒器をつけるための穴をあけることが難しいような場合、
  受け皿を両面テープや接着剤で洗面台に固定して、その上に消毒器を置くことで認めてくれること
  もあります。
  なお、保健所によっては固定式でなくとも良いというところがあるので、固定式を置きたくない場
  合などは相談してみるのもひとつの方法と考えます。

上記の水回りは後から工事をすると費用がかさみがちなので、工事の段階で保健所にしっかりと事前確
認しておくことが大事です。

 ・厨房と客室が扉等で区分されていること
  この扉は大きなものでないスイングドアやウェスタンドアを設置すれば問題ありません。
  のれんは明確な区分ができないとして、認められない場合もあります。
  居抜き店舗の場合は、ウェスタンドアが動かないように開いた状態で固定されている場合や取り外
  されてしまっていることがありますので確認が必要です。

 ・厨房内に冷蔵庫等の設備が収まっていること
  基本的に、冷蔵庫や製氷機、食洗器、オーブン等の厨房機器は厨房内に収まっている必要がありま
  す。つまり、客席等厨房の外には食材や食器は原則として置けませんし、調理もしてはならないと
  いうことです。
  どうしても厨房内に冷蔵庫が置けない場合、客室等に冷蔵庫や食器棚を置くことを認めてくれるこ
  とはあります。ただし、蓋がしっかりつき、衛生状態を保ちやすいドリンク等だけで、生肉、野菜
  といった食材を入れることは認められません。
  また、ビールサーバーをカウンター上に設置している場合、注ぎ口のある方を厨房内に向けなけれ
  ばならないこともあります。注ぎ口が客席側を向いていると、客室でビールを注ぐことになると考
  えられるためです。

 ・冷蔵庫に温度計が設置されていること
  業務用冷蔵庫であれば、中の温度が外部から分かるように表示されるので問題ありません。
  家庭用冷蔵庫を使う場合、外から庫内の温度が分かりませんので、隔測温度計等を設置して外から
  庫内の温度が分かるようにしておかなければなりません。市販されているもので問題ありません。
  なお、保健所によっては庫内に温度計があればいいということがありますので、家庭用冷蔵庫を使
  用するときには保健所に相談することが良いと考えます。

 ・厨房内に蓋付きのゴミ箱があること
  厨房内に最低1つは必要で、蓋付きのものでなければいけません。
  業務用でなくても、ホームセンターなどで売っているプラスチック製のものなどで構いません。

 ・食器棚に戸がついていること
  食器をしまう棚には戸が必要です。
  普通の食器戸棚であれば問題なく、戸はガラスでも木でも問題ありません。

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